2015年12月27日
12月27日 東京メトロ駅員、痴漢で解雇は「無効」東京地裁判決より考える事
福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと 採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
12月27日日曜日。今日は痴漢をした従業員の解雇に関する気になる記事がありました。参考に2紙の記事を比較の意味で掲載します。
※読売新聞より引用
痴漢で逮捕、東京メトロ社員の解雇無効の判決
2015年12月26日 09時32分
地下鉄の車内で痴漢したとして逮捕された東京地下鉄(東京メトロ)の男性社員が、諭旨解雇されたのは不当だとして、同社に解雇無効などを求めた訴訟で、東京地裁は25日、解雇を無効とし、同社に解雇後の未払い分の給与(月額約36万円)を支払うよう命じる判決を言い渡した。
石田明彦裁判官は「痴漢が許されない行為なのは当然だが、諭旨解雇は重すぎる処分で、社会通念上、相当ではない」と述べた。
判決によると、男性は2013年12月、東京メトロ千代田線の車内で痴漢したとして逮捕された。罰金20万円の略式命令を受け、14年4月、同社に諭旨解雇された。判決は「会社に与えた影響は大きくなく、懲戒手続きの中で弁明の機会が与えられなかったのも不適切だった」と判断した。
※朝日新聞より引用
東京メトロ駅員、痴漢で解雇は「無効」 東京地裁判決
朝日新聞 千葉雄高2015年12月25日20時25分
電車内で痴漢をしたとして略式命令を受けた東京メトロの駅員の男性が、諭旨解雇されたのは不当だと訴えた訴訟で、東京地裁は25日、解雇を無効とする判決を言い渡した。石田明彦裁判官は「解雇は重すぎ、手続きにも問題がある」と述べ、解雇された昨年4月以降、1カ月あたり約36万円の支払いも命じた。
判決などによると、男性は2013年12月、出勤のため乗車していた東京メトロ千代田線内で、当時14歳の女性の尻などを服の上から約5分間触った疑いで逮捕された。略式起訴され、罰金20万円の略式命令を受けて納付。同社は男性を諭旨解雇とした。
訴訟で同社は「痴漢を防止すべき駅員であり、厳しい処断は当然」と主張したが、判決は「行為の具体的状況から悪質性は比較的低い」と指摘。同社が社員の痴漢への懲戒処分で、起訴(略式起訴)だけを基準とし、悪質性や処分歴などを考慮しないのは「処分の決め方として不合理にすぎる」とも述べ、解雇は無効と判断した。
※引用終わり。
この記事を読むと、有名な判例である小田急電鉄事件(東京高判平15.12.11 判時1853-145)を思い出します。小田急電鉄事件は、「度重なる痴漢行為による懲戒解雇とこれに伴い退職金を支給しなかったことの適否が争われた事案」で有名ですが、解雇について無効か否か?については、
(判決文一部引用)
「電車内における乗客の迷惑や被害を防止すべき電鉄会社の社員であり、その従事する職務に伴う倫理規範として、そのような行為を決して行ってはならない立場にある。
しかも、Xは、本件行為のわずか半年前に、同種の痴漢行為で罰金刑に処せられ、昇給停止及び降職の処分を受け、今後、このような不祥事を発生させた場合には、いかなる処分にも従うので、寛大な処分をお願いしたいとの始末書を提出しながら、再び同種の犯罪行為で検挙されたものである。
このような事情からすれば、本件行為が報道等の形で公になるか否かを問わず、その社内における処分が懲戒解雇という最も厳しいものとなったとしても、それはやむを得ないものというべきである。」
と書かれており、懲戒解雇有効と判決が出ています。
今回の判決は、「解雇無効」となっていますが、過去に同種の事例で、どのような懲戒処分をしたか?初犯なのか?再犯なのか?懲戒手続は妥当か?という点の考慮が不足していたと思われます。
また今回の記事より、「諭旨解雇決定までの懲戒手続きの中で弁明の機会が与えられなかったのも不適切だった」と判決時に述べられてる点でも、懲戒処分の仕方に間違い・誤りがあったと思われます。
今後、再発防止するためにも、懲戒解雇(諭旨解雇)をすることに関しては、過去の懲戒処分歴や懲戒手続、他の従業員への懲戒処分とのバランス(均衡)を怠らないことが必要だと私は思います。

写真は12月25日に家族で行ったクリスマス会での夕食(唐揚げ2種、サンドイッチ2種、生ハムとドイツパンのスライス、カリフラワーのスープ、シブースト)です。
以上、福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。
※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。
福岡 久留米
採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人
移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com
ただし会社側の相談のみであり、労働者からの相談は対応していませんので、ご了承願います。
なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。
社会保険労務士おくむらおふぃす

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東京メトロ駅員、痴漢で解雇は「無効」東京地裁判決より考える事
12月27日日曜日。今日は痴漢をした従業員の解雇に関する気になる記事がありました。参考に2紙の記事を比較の意味で掲載します。
※読売新聞より引用
痴漢で逮捕、東京メトロ社員の解雇無効の判決
2015年12月26日 09時32分
地下鉄の車内で痴漢したとして逮捕された東京地下鉄(東京メトロ)の男性社員が、諭旨解雇されたのは不当だとして、同社に解雇無効などを求めた訴訟で、東京地裁は25日、解雇を無効とし、同社に解雇後の未払い分の給与(月額約36万円)を支払うよう命じる判決を言い渡した。
石田明彦裁判官は「痴漢が許されない行為なのは当然だが、諭旨解雇は重すぎる処分で、社会通念上、相当ではない」と述べた。
判決によると、男性は2013年12月、東京メトロ千代田線の車内で痴漢したとして逮捕された。罰金20万円の略式命令を受け、14年4月、同社に諭旨解雇された。判決は「会社に与えた影響は大きくなく、懲戒手続きの中で弁明の機会が与えられなかったのも不適切だった」と判断した。
※朝日新聞より引用
東京メトロ駅員、痴漢で解雇は「無効」 東京地裁判決
朝日新聞 千葉雄高2015年12月25日20時25分
電車内で痴漢をしたとして略式命令を受けた東京メトロの駅員の男性が、諭旨解雇されたのは不当だと訴えた訴訟で、東京地裁は25日、解雇を無効とする判決を言い渡した。石田明彦裁判官は「解雇は重すぎ、手続きにも問題がある」と述べ、解雇された昨年4月以降、1カ月あたり約36万円の支払いも命じた。
判決などによると、男性は2013年12月、出勤のため乗車していた東京メトロ千代田線内で、当時14歳の女性の尻などを服の上から約5分間触った疑いで逮捕された。略式起訴され、罰金20万円の略式命令を受けて納付。同社は男性を諭旨解雇とした。
訴訟で同社は「痴漢を防止すべき駅員であり、厳しい処断は当然」と主張したが、判決は「行為の具体的状況から悪質性は比較的低い」と指摘。同社が社員の痴漢への懲戒処分で、起訴(略式起訴)だけを基準とし、悪質性や処分歴などを考慮しないのは「処分の決め方として不合理にすぎる」とも述べ、解雇は無効と判断した。
※引用終わり。
この記事を読むと、有名な判例である小田急電鉄事件(東京高判平15.12.11 判時1853-145)を思い出します。小田急電鉄事件は、「度重なる痴漢行為による懲戒解雇とこれに伴い退職金を支給しなかったことの適否が争われた事案」で有名ですが、解雇について無効か否か?については、
(判決文一部引用)
「電車内における乗客の迷惑や被害を防止すべき電鉄会社の社員であり、その従事する職務に伴う倫理規範として、そのような行為を決して行ってはならない立場にある。
しかも、Xは、本件行為のわずか半年前に、同種の痴漢行為で罰金刑に処せられ、昇給停止及び降職の処分を受け、今後、このような不祥事を発生させた場合には、いかなる処分にも従うので、寛大な処分をお願いしたいとの始末書を提出しながら、再び同種の犯罪行為で検挙されたものである。
このような事情からすれば、本件行為が報道等の形で公になるか否かを問わず、その社内における処分が懲戒解雇という最も厳しいものとなったとしても、それはやむを得ないものというべきである。」
と書かれており、懲戒解雇有効と判決が出ています。
今回の判決は、「解雇無効」となっていますが、過去に同種の事例で、どのような懲戒処分をしたか?初犯なのか?再犯なのか?懲戒手続は妥当か?という点の考慮が不足していたと思われます。
また今回の記事より、「諭旨解雇決定までの懲戒手続きの中で弁明の機会が与えられなかったのも不適切だった」と判決時に述べられてる点でも、懲戒処分の仕方に間違い・誤りがあったと思われます。
今後、再発防止するためにも、懲戒解雇(諭旨解雇)をすることに関しては、過去の懲戒処分歴や懲戒手続、他の従業員への懲戒処分とのバランス(均衡)を怠らないことが必要だと私は思います。
写真は12月25日に家族で行ったクリスマス会での夕食(唐揚げ2種、サンドイッチ2種、生ハムとドイツパンのスライス、カリフラワーのスープ、シブースト)です。
以上、福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。
※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。
福岡 久留米
採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人
移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com
ただし会社側の相談のみであり、労働者からの相談は対応していませんので、ご了承願います。
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Posted by naitya2000 at 23:51│Comments(0)
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