2010年07月04日

助成金は受給したら終わりではありません!

 こんにちはnaitya2000こと労務管理の町医者・社労士の吉野正人です。先日、「中小企業緊急雇用安定助成金」について気になる新聞記事がありました。

※産経新聞より引用

雇用安定助成金420万円を詐取容疑 元簡裁職員を再逮捕 大阪地検

2010.6.29 22:03 産経新聞
 過払金の返還請求をめぐり大阪簡裁の元職員が非弁活動を繰り返したとされる事件で、大阪地検特捜部は29日、経営難の企業に支給される「中小企業緊急雇用安定助成金」をだまし取ったとして、詐欺容疑で元簡裁職員の旅行代理業、飯坂忠久被告(43)=業務上横領罪などで同日追起訴=を再逮捕した。特捜部によると「間違いありません」と容疑を認めている。

 逮捕容疑は、自分の会社の従業員に教育訓練などをさせたとする虚偽の書類を大阪労働局に提出。昨年12月~今年4月の6回、計約420万円を詐取したとしている。

※以上、引用終わり。
 
 私自身、現在毎月「中小企業緊急雇用安定助成金」の計画・申請をしていますが、この記事を読んで「起こるべくして起こった。」と言うのが正直私の本音です・・・。この「中小企業緊急雇用安定助成金」は、私自身去年2月から手続きをしています。リーマンショックの景気悪化に伴い、去年初めからこの助成金の支給要件が緩和され、急激に申請社数が増え、支給した助成金額は、2009年度この助成金だけで6537億円に上りました。しかも、この助成金だけで、不正事業者数は91事業所もあり、不正受給額は約7億円もあったそうです・・・。

 さらに、去年12月から手続き書類が簡素化されました。今まで手続きをしてきた私にとっては「こんなに簡単にしていいの?不正が増えるのでは?」と思っていました。そして、今回の事件・・・。ちなみに、この事件の前にも不正受給が明らかになり、今年4月から調査を強化した矢先でした・・・。

 そして、今回の事件も含めて「要件緩和」「手続き簡略化」の為に不正受給が増加した為でしょうか?7月1日から調査などを行い、不正受給の防止対策を強化するようです。

助成金は受給したら終わりではありません!
※中島汽船 フェリー「じんわ」
http://www.nakajimakisen.co.jp/

※労政時報メルマガより引用

●雇用調整助成金の不正受給防止対策を強化

労政時報メルマガ2010年6月30日 <No.137>

…厚生労働省では、雇用調整助成金の受給手続きに関し、架空の休業や教育訓練
を実施したなどと虚偽の申請を行う事案がなお一部にみられることから、こう
した不正受給を防止するための対策をさらに強化することとしました。対策強
化のポイントは以下のとおりで、7月1日から実施されます。

(1)都道府県労働局において、以下のような事業所を対象とした実地調査を必ず実
施する
・事業主が自ら実施する事業所内訓練の実施日数が多い事業所
・ある程度業務量があると推察されるにもかかわらず休業の実施日数が多い事
業所
・休業等を実施する一方で合理的な理由なく雇用する労働者が増加している事
業所


(2)厚生労働省において、都道府県労働局が行う立入検査のノウハウを収集・分析
し、その成果を研修することにより不正受給の摘発を強化する。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000007emy.html

※以上、引用終わり。

 助成金は、要件が緩くなると私を含む社労士等の専門家を頼まず、直接手続きをする会社が増えてきます。当然、自分で出来るので、それはそれで問題はありません。しかし、助成金の支給が終われば「オシマイ」と思いがちですが、実際は違います・・・。

 助成金を貰うといわゆる国の「調査」を受ける確率が上がります。特に、書類を無理矢理支給申請時に「帳尻合わせ」で作成すると、調査時にボロが出て「不正受給」が判明し、助成金全額返金+追徴金というパターンもあり得ます・・・。実際、それで中小企業が「助成金全額返金」という痛い目にあったパターンを見ています・・・。

 助成金を貰うにあたっては、「支給後」の事も考えた上で手続きすることが必要です。助成金を貰うにあたっての雇用保険法・労働基準法等「法令順守」は必要条件となります。助成金を貰う時には、「貰った後」の事も是非、考えていただければ幸いです。

以上、naitya2000でした。


Posted by naitya2000 at 22:52│Comments(0)
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