2010年12月06日

過重労働自殺と労務管理

 こんにちはnaitya2000こと労務管理の町医者、社会保険労務士の吉野正人です。先日、過重労働と労災に関する記事を見つけました。

※朝日新聞より引用

時間外、月228時間 過労自殺に6590万円賠償命令
朝日新聞2010年10月29日23時15分
 介護つき老人ホームなどを経営する会社に勤める男性(当時43)が自殺したのは長時間労働で発症したうつ病が原因だとして、遺族が勤務先と元社長に総額約1億1580万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、前橋地裁であった。西口元裁判長は勤務先に約6590万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、男性は「メディスコーポレーション」(本社・群馬県桐生市)の財務経理部長だった2004年8月に自殺した。同年1月ごろから仕事が増え、土日や連休も出勤。時間外勤務は最大で月228時間に達し、6月ごろから不眠を訴えたり、朝食を食べられなくなったりしていた。桐生労働基準監督署は07年、自殺を労災と認定した。

 判決は「極めて長時間の労働による疲労を回復できる休息は取れていなかった。04年7月にはうつ状態が認められる」と認定。「仕事量が増大した男性を支援する態勢を整えないなど、会社側は大きな肉体的・精神的負担を加えており、健康悪化のおそれを容易に予見できた」と述べた。
 
同社側は「普段の行動からもうつ病を発症していたとは考えられず、自殺は予見できなかった」と主張していた。

 判決を受けて、弁護団のメンバーで過労死弁護団全国連絡会代表幹事の松丸正弁護士は「男性の勤務は他に類をみない超長時間労働。判決は内容を適切に判断していて評価できる」と話した。(遠藤隆史)

※引用終わり。


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http://www.ferry.co.jp/index2.htm

 いわゆる典型的な「過重労働」に伴う「うつ病」発症→自殺のパターンです。ある労働者に仕事が積み重なり、過重労働が精神的・肉体的負担となり「うつ病」発症と言う事実を普段の行動から会社は気づかなかったという理論は、会社にとってはやはり不利になってしまいます・・・。

 最近、過労死、過労自殺に伴う遺族側からの会社に対する損害賠償請求が増えています。会社側の立場としては、労災が認定されたから終わりという訳には行きません。

 確かに、労働者遺族側には、労災保険より遺族補償年金・遺族補償一時金等が国より支給され所得補償はされますが、慰謝料については別であり民事的な争いです。遺族から労災とは別に慰謝料の請求を求めてくるパターンが多いのが現実です。

 遺族は、過労死・過労自殺後の会社の対応を冷静に見ています。遺族への対応が保険会社や弁護士等にまる任せで「誠意」を持った対処をしないと、今回のような裁判沙汰となり慰謝料等の損害賠償額も莫大な金額となってしまいます。当然、本業以外に時間と労力を割かれ経営者・人事労務担当者自身見も心もボロボロになってしまいます。

 会社としては、裁判になると今回の記事のように費用・時間・労力がかかるので、裁判となる前に労働者側遺族と話し合い・調停等による和解等解決するのが理想です。

 今回の問題点は、「労働時間管理」と会社としての「安全配慮義務」だと思われます。会社として労働者の労働時間を把握・管理する義務があります。そして、会社として労働者に対して安全を配慮する義務(労働契約法第5条)があります。

 具体的には、今回のような過労死・過労自殺を防ぐためには、労働時間が長すぎる、労働者本人の体調が良くないなど予兆がある場合、

1 業務量を減らす。
2 休暇を与える。
3 配置転換をする。

等の対応が必要かと思います。

 特に中小企業の場合、余剰人員がおらずギリギリの状態で仕事をしているのが現状かと思います。しかし、今回のような事態が起こる前に、労働者の労働時間の状態と健康状態(精神的な状態を含む)を、常日頃知っておき、労働者に声をかける事が、最低限必要があると思います。

 日頃から、トラブルが起こる前に予防策と労災時に慰謝料等の請求に対応した「上乗せ労災」を民間保険会社等で掛ける必要があると思います。

以上、naitya2000でした。


Posted by naitya2000 at 12:19│Comments(0)
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