2015年08月02日

8月2日 残業代不払い 元積水ハウス社員2人、労働審判申立から考える

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと 採用と労務管理の町医者 吉野正人です。

8月2日日曜日。今日は残業手当不払いの気になる記事がありました。比較の意味で、2種類掲載します。

残業代不払い 元積水ハウス社員2人、労働審判申立から考える


<残業代不払い>元積水ハウス社員2人、労働審判申し立て

07月30日 20:46毎日新聞

 住宅メーカー大手「積水ハウス」(本社・大阪市)の元営業職社員2人が30日、不払いの残業代などとして、それぞれ271万円と114万円の支払いを求め、東京地裁に労働審判を申し立てた。

 申立書などによると、2013年に入社した元社員は関東の支店に配属され住宅販売の営業を担当。「みなし労働時間」を1日8時間55分とされたが、実際には午前8時15分から午後10時ごろまで働き、1カ月69時間の残業を強いられた。残業代は支払われず、体調を崩し退職した。もう1人もみなし労働時間を適用され不払いがあったと訴えている。

 みなし労働時間は、営業など社外での仕事が多い社員の正確な労働時間を会社側が把握できない場合、一定時間を働いたとみなす制度。しかし、今回の2人は毎日のスケジュールを管理され、社外でも携帯電話などで頻繁に報告を行っていたとして「制度の適用外」と主張している。【東海林智】

 積水ハウス広報部の話 申立書が届いておらず、コメントできない。


※弁護士ドットコム引用

「外回りの営業職にも残業代を払ってほしい」元積水ハウス社員が「労働審判」申し立て
弁護士ドットコム 7月30日(木)19時50分配信

「外回りの営業職にも残業代を払ってほしい」元積水ハウス社員が「労働審判」申し立て
申立人の男性2名
残業代が支払われないのに月80時間近くの時間外労働を強いられ、肉体的・精神的な負担から退職を余儀なくされたとして、大手住宅メーカー「積水ハウス」(本社・大阪市)の元社員の男性2人(いずれも20代)が7月30日、未払い残業代などを求めて、東京地裁に労働審判を申し立てた。

申し立て後、東京・霞ヶ関の厚生労働省記者クラブで開いた記者会見で、申立人のAさんは「先輩などから『駅前でナンパしてこい』『寮にデリヘルを呼べ』と命令されることもあった」と、悔しさをにじませて語った。

●先輩に「デリヘルを呼べ」と言われた

申立書などによると、申立人のAさんとBさんは、新卒で同社に入社し、外回りの営業職を担当。同社では、外回りの営業職について、事業所の外で働いているため正確な労働時間を算定しにくいとして、「事業場外みなし労働時間制度」を適用していた。そのため、残業代が支払われなかったが、実際には、Aさんは多い月で約67時間、Bさんは約79時間の時間外労働を強いられる状態だったという。

また、Aさんは、過労死ライン(月80時間)に迫る長時間残業だけでなく、上司や先輩からのパワーハラスメントにも悩まされていた、と主張する。

日常的に「お前は空気が読めない。日本語が通じない」と嘲笑されていた。さらに、休日の前日に開かれる飲み会への参加を義務づけられ、上司や先輩から吐くまで飲酒するよう強要されたという。

Aさんによると、社内でのパワハラに加えて、社員寮でも先輩による嫌がらせがあった。ある日の深夜、Aさんが自室にいたところ、突然押し掛けてきた5~6人の先輩社員に部屋を荒らされた後、「デリヘルを呼べ」と命令された。

先輩社員が部屋の外で見張っていたため、Aさんは仕方なく女性を呼んだ。何もしないまま時間をつぶし、代金のみ支払って、女性に帰ってもらったそうだ。「なぜ先輩たちがそんな命令をしたのか意味が分かりませんが、外で監視されているので断れなかった」

Aさんは、労働審判の申し立てのなかで、パワハラによって心身の苦痛を受けたとして、損害賠償を請求している。

●入社1年目で退社を余儀なくされた

会社でも自宅でもストレスにさらされたAさんは、しだいに不眠や頭痛、腹痛といった症状がでるようになった。「適応障害」の診断を受け、休職して療養していたが、これ以上同社で働くことが難しいと判断し、入社後1年経たずして自主退職した。今も当時のことを思い出すだけで、精神的に動揺してしまうという。

一方、申立人として名乗りを上げたもう1人の男性であるBさんも、外回りの営業職だったため、「事業場外みなし労働時間制度」が適用され、残業代が支払われなかった。しかし、実際には、多いときで月79時間の時間外労働を強いられたという。心身ともに限界を迎えたBさんは、入社後約11カ月で自主退職した。

「今でも、あの辛い日々を思い出したくはありませんが、誰かが行動を起こさないとあの会社は変わらないと感じ、今回、労働審判を起こすことにしました」と、Bさんは労働審判を申し立てた理由を語った。

2人の代理人の明石順平弁護士は、AさんとBさんが「会社から貸与された携帯電話やiPadで、事業所の外でも上司と頻繁に連絡を取っていた」などとして、上司が労働時間を把握しにくかったとはいえないと指摘し、次のように話した。

「業界トップクラスのこの会社で、『事業場外みなし』という制度を使って、残業代を支払っていないという現状がある。おそらく、他の住宅販売会社の中にも、この制度を適用して、残業代の支払いをまぬがれているところがあるのではないか。そうした会社にも、影響が及ぶと思う」と、今回の労働審判の意義を語った。

積水ハウスの広報担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「申立書が届いていないのでコメントできない」と話している。


※引用終わり。

今回の記事は、労働者寄りの記事であることを理解した上で、会社側の立場で書きたいと思います。

いわゆる事業場外みなし労働制をめぐる未払い残業手当の争いのようです。この事業場外みなし労働時間制度をめぐる未払い残業手当というと、最高裁の判決が出た「阪急トラベルサポート事件」を思い出します。

阪急トラベルサポート事件は、旅行会社の添乗員において、事業場外みなし労働時間制度が適用されるか否か?の争いでした。

なお、事業場外みなし労働時間制度とは、労働基準法第38条の2で、

「労働者が事業場外で業務に従事し、かつ労働時間の計算が困難な場合には、みなし時間により労働時間を計算できる場合があります。

みなしの対象となるのは所定労働時間が原則ですが、所定時間を超えて労働することが通常必要となる場合には、そのような通常必要となる時間がみなし時間となります。」と言う制度です。

阪急トラベルサポートの最高裁判決では、

「業務の性質,内容やその遂行の態様,状況等,本件会社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法,内容やその実施の態様,状況等に鑑みると,本件添乗業務については,これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえない」

ということで、事業場外みなし労働時間制を認めませんでした。

今回の積水ハウスの事例は、未払い残業手当とパワハラの複合のようです。正直、パワハラだけでは賠償金額が少額になるので、未払い残業手当を併せて争う「よくあるパターン」だと思います。

会社側の立場で今回の事例を見ると、正直会社側は不利だと思います。最高裁の判例のとおり、労働審判で事業場外みなし労働時間制を認めて貰う可能性は、極めて低いと私は思います。

個人的には、未払い残業手当の金額において、会社として支払える・妥協できる金額を明示し、出来る限り速やかに和解すべきだと思います。またパワハラに関しては、加害者である先輩従業員のヒアリングを元に現状を把握し、妥協できる賠償金額で和解すべきだと思います。


今回の事例で、営業の外回りにおける「事業場外みなし労働時間制」の活用は、会社側の社労士としてもオススメできません。個人的には、「定額残業手当」を活用したうえでの労働時間管理が無難だと思います。

当然、労働者との個別に労働契約書による同意は必要です。また、定額残業手当で定めた1月あたりの残業時間超過分は、支払う必要がありますので注意願います。基本的に、超過分を支払ってない場合が労働トラブルになってるようです。

毎度の事ながら、このように新聞やネットで記事になる前に、労使間で速やかに話し合いを行い和解することをオススメします。




写真は今日の昼食で、自家製弁当(ぎょろっけ、マカロニとちくわのサラダ、卵焼き、なすのしぎやき、きのこアヒージョ)でした。

以上、福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。


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Posted by naitya2000 at 21:20│Comments(0)
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