2014年11月29日

11月29日 パワハラ自殺の訴訟から労務管理を考える

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野正人です。

パワハラ自殺の訴訟から労務管理を考える

今日はパワハラについて気になる判決記事がありました。

※福井新聞より引用

パワハラ自殺訴訟、認定の根拠は上司発言記した手帳 福井の会社・直属上司に賠償命令
福井新聞2014年11月29日(土)09:01

 消火器販売などの「暁産業」(福井県福井市)に勤めていた男性社員=当時(19)=が自殺したのは上司の暴言によるパワーハラスメント(パワハラ)が原因として、男性の父親が会社と当時の上司2人に対し、慰謝料など約1億1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが28日、福井地裁であった。樋口英明裁判官は「典型的なパワハラ」として、同社と直属の上司に対し約7200万円の支払いを命じた。管理職の上司に対する請求は棄却した。

 原告側代理人によると、自殺の原因をパワハラと訴えた訴訟は県内で例はなく、未成年に対する認定は「全国でもおそらく初めて」としている。

 樋口裁判官は判決理由で、男性がメモに残した直属の上司の暴言について「仕事上のミスに対する叱責(しっせき)の域を超え、男性の人格を否定、威迫するもの」と認定。さらに自殺した本人の過失はない、として賠償額の過失相殺をしなかった。

 会社についても、直属の上司に対する管理責任を認めた。管理職の上司については「パワハラの実態を把握するのは困難」として責任は問えないとした。

 判決文などによると、男性は2010年4月に正社員として入社。直属の上司から「死んでしまえばいい」「辞めればいい」などと言葉によるパワハラを受け、同年12月に自殺した。福井労基署は12年7月、男性は上司からのパワハラが原因で自殺したとして労災認定した。

 男性の父親は「当然の結果だと思っている。この判決を受け、社長はどう責任を取るのか」とコメントを寄せた。

 同社は「担当者不在のためコメントできない」とし、被告代理人は「パワハラはなかったと確信しており、控訴する」とした。

 ■手帳に記された上司発言が根拠に

 「学ぶ気持ちはあるのか、いつまで新人気分」「毎日同じことを言う身にもなれ」「今日使った無駄な時間を返してくれ」「いつまでも甘甘、学生気分はさっさと捨てろ」(原文まま)―。判決の「典型的なパワハラ」の根拠となったのは、自殺した男性が手帳に記した、上司の発言23カ所だった。

 この手帳には、上司の指導の一環で、注意を受けたことなどが書き記されていたという。

 判決で、数々の言葉は高卒新入社員の男性への心理的負荷は「極めて強度である」と認めた。原告代理人は「言葉を具体的に取り上げた認定は珍しい。今後、同様の発言をすればパワハラになるという指標になるのではないか」と話した。

 全国では、昨年6月の仙台地裁判決、今月の東京地裁判決で自殺原因が、会社や上司のパワハラと認定されている。原告代理人は「パワハラをしたら個人も責任を負う時代にきている」とした。

 男性の父親は「会社の代表者や当事者はまったく謝りません。判決は当然の結果。謝らないなら許さない」とコメントを発表、会社への怒りや憤り、息子を亡くした悲しみの言葉が並んだ。コメントは「息子が亡くなってすぐに会社は求人募集をしておりました。福井は全国でも住みよいところ、といわれております。より良い故郷になるよう願ってなりません」と締められていた。

※引用終わり。

この判決は、今後のパワハラに関する労働トラブルに関する対処法の参考になると思います。典型的な、パワハラ→精神疾患→自殺→労災認定→民事訴訟による損害賠償請求の流れです。この記事のように、パワハラで自殺した場合の損害賠償請求は、高額になるので注意が必要です。

なお、この判決も初期対応がお粗末だったと思います。記事の中で、「会社の代表者や当事者はまったく謝りません。」という言葉が印象的でした。最近は、たしかに問題社員が多いのも事実ですが、そのような問題社員を雇った経営者にも責任があります。

パワハラに関しては、現在労働相談でも多く、記事のように経営者と当事者である管理職双方責任を問われます。知らぬ存ぜぬでは、「使用者責任(民法第715条第2項)」を問われ、この記事のように損害賠償請求を受けかねません。なお、労災認定されている状況で控訴しても、会社側には不利だと思われます。

今後は、パワハラ発生時には、
・外部相談窓口を設ける
・双方の言い分をしっかり確認するためにヒアリングを行う
・ヒアリングの結果、できるだけ早めに労使話し合いを行い、和解するよう努める。
・労使話合い後は、懲戒処分や配置転換など再発防止策を速やかに講じる。

など以上のような対応が必要だと思われます。なお、労使紛争発生後の就業規則の見直しや社内教育は必要だと思います。

11月29日 パワハラ自殺の訴訟から労務管理を考える

11月29日 パワハラ自殺の訴訟から労務管理を考える

写真は今日の夕食で、生だらフライ・ブロッコリー・切り干し大根・ポテトサラダです。生ダラのフライがおいしかったです(^^)。

以上、福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。


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Posted by naitya2000 at 20:55│Comments(0)
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