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2015年12月08日

12月8日 ワタミ過労死訴訟で和解が成立から学ぶ

福岡・久留米ぶっちゃけ社労士会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと 採用と労務管理の町医者 吉野正人です。

12月8日火曜日。週末から風邪で寝込んでしまい、投稿が空いてしまいました。。。今日は、ワタミの過労死訴訟和解したので、その点について書きたいと思います。今回は長文になりますが、比較の意味で2種類の新聞記事を掲載します。

ワタミ過労死訴訟で和解が成立から学ぶ


※読売新聞より引用

ワタミ過労死訴訟で和解が成立
読売新聞2015年12月08日 20時40分
 居酒屋「和民」で働いていた森美菜さん(当時26歳)が2008年に自殺したのは過重労働が原因だとして、両親が「ワタミ」(東京)や創業者で当時社長だった渡辺美樹参院議員(56)(自民)などに約1億5300万円の損害賠償を求めた訴訟は8日、東京地裁(吉田徹裁判長)で和解が成立した。

 ワタミと渡辺氏らが自殺の責任を認めて謝罪し、両親に約1億3400万円を支払う。

 ワタミが過重労働と自殺の因果関係を認めた内容で、慰謝料4000万円逸失利益7500万円などとなっており、弁護団は「ワタミに対する懲罰的な意味合いも考慮され、賠償額は通常の2倍となった」としている。

 訴状によると、森さんは08年4月に入社し、同月中旬から神奈川県横須賀市内の店舗に配属された。連日、未明までの勤務を強いられ、5月中旬までの1か月間で時間外労働は「過労死ライン(月80または100時間)」を大幅に上回る月141時間に上った。同月中旬に適応障害を発症し、6月に同市内のマンションから飛び降り自殺した。

 和解条項では、自殺は過重労働を強いたことが原因だったとワタミ側が認め、渡辺氏が最も重大な賠償責任を負うと明記。再発防止策として、ワタミが労働基準監督署から是正勧告を受けた場合、全従業員に周知することも盛り込まれた。

 また、ワタミは、08~15年度に入社した新卒社員約1000人に、渡辺氏の著書購入代金などの返還金として一律約2万4000円を支払い、08~12年度の新卒社員約800人にも、研修などの未払い賃金分として同額を支払う。

 和解を受け、渡辺氏は「人生最大の反省点で、自らを改革する」とコメント。ワタミは「心からおわびし、労働環境の改善に取り組む」としている。

※毎日新聞より引用

ワタミ過労自殺 遺族と1億3365万円で和解

毎日新聞2015年12月8日 20時05分(最終更新 12月8日 21時21分)

 居酒屋大手「和民」で働いていた森美菜さん(当時26歳)が過労自殺したのは会社側の責任だとして、遺族らが運営会社ワタミと当時の社長の渡辺美樹参院議員(自民)などに約1億5300万円の損害賠償を求めた訴訟は8日、東京地裁(吉田徹裁判長)で和解が成立した。原告側によると、被告側が業務に起因する自殺であると認めて1億3365万円を支払い、労働時間の正確な把握などの再発防止策を取ることで合意した。遺族側の意向に全面的に沿った和解となった。

 訴えていたのは森さんの父豪(つよし)さん(67)と母祐子さん(61)。訴状などによると美菜さんは2008年春にワタミの子会社に入社、神奈川県横須賀市の店舗で働いていたが、同年6月に自殺した。残業は国の過労死認定ライン(月80時間)を超える月約141時間に上り、12年2月に労災認定された。

 原告と被告は和解条項で、美菜さんはワタミの業務が原因自殺したことを確認。渡辺議員は従業員に過重な業務を強いるなど最も重大な損害賠償責任を負っているとした。賠償額には逸失利益のほかに慰謝料4000万円が含まれた。原告側の玉木一成弁護士は「慰謝料は通常の倍額で(日本の裁判では認められない)懲罰的要素も含まれている」と説明した。

 このほか、美菜さんの未払い残業代約40万円や賃金から天引きされた業務用のブレザー代金など2万4675円も支払われる。被告側は08~15年に入社した社員にも美菜さんと同様の未払い賃金天引きがあったと認め、1人当たり約2万5000円総額約4500万円の支払いにも応じる。

 和解成立後に厚生労働省で記者会見した豪さんは「娘の過労自死がなかったかのように振る舞う会社の態度が許せなかった。金を払って終わりではなく、和解条項の過重労働防止策を守り、良い会社になってもらいたい」と話した。

 原告側によると、渡辺議員は東京地裁での協議で和解成立に当たって発言を求め「企業理念が独り歩きして森さんを追い詰めたことを悔いている。これまでの発言、態度を反省し、二度と過労死が起きないように取り組んでいきたい」と両親に改めて謝罪した。ワタミは「原告側にご心労を与えたことを心からおわびする。同様の事案の再発防止に努めております」とするコメントを公表した。【東海林智】

※引用終わり。

この事件は、過重労働→適応障害→自殺と言う経緯でした。実際に従業員が自殺してから約7年経過した後の和解は、あまりにも時間がかかりすぎだと会社側の立場の社労士である私も思います。正直、経営者のミエとプライド、意地が邪魔をし過ぎてしまい、現実を冷静に判断し、早急な対応ができなかったと思えてなりません。。。

今回の和解金額等からみても1億円を超える高額な金額となっています。また、他の従業員への未払い賃金・渡辺氏の著書購入代金などの返還金等により多くの金額を返金するようです。しかし、未払い賃金は「よくある話」ですが、渡邉美樹氏の書物等を「教育用」で購入させる渡邉美樹氏の人間性は、私自身、正直呆れてしまいます。。。

今回の和解について、ワタミのホームページには下記のように掲載されていました。

※以下、ワタミホームページより引用

平成27年12月8日 
各 位  ワタミ株式会社 代表取締役社長 清水 邦晃

労務訴訟に関する和解成立のお知らせ


平成 20 年 4 月に入社した新卒社員が同年 6 月にご逝去された件に関しまして、平成 25 年 12 月に当該新卒社員のご両親を原告として提起されました訴訟が、本日、原告側と和解に至りましたので、ここにお知らせいたします。

当社といたしましては、本日に至るまで、原告側にご心労を与えたことを、心からお詫びするとともに、関係各位に対しましてもご心配をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。
現在、当社におきましては、労働環境の改善に鋭意取り組んでおり、同様の事案の再発防止に努めております。

尚、和解内容につきましては、後日、当社ホームページ上にて公表の予定ですので、そちらをご覧いただけますと幸いです。

以上

※引用終わり。

この会社の言葉に書かれてる通り、本当に今後の「労働環境の改善」「再発防止」に行動して頂ければ幸いです。あまりにも無駄な時間と多大な「授業料」を費やしたと私は思います。

なお、記事の中で渡邉美樹氏が、「企業理念が独り歩きして森さんを追い詰めたことを悔いている。」とコメントしていますが、ワタミの企業理念がどのような事を書いているのか?ホームページを参照してみました。一部引用してみます。

※ワタミホームページより一部引用

経営理念体系

■ワタミグループに共通する経営の考え方
●ワタミグループスローガン
「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」

●ワタミグループミッション
「地球人類の人間性向上のためのよりよい環境をつくり、よりよいきっかけを提供すること」

●ワタミグループ 経営の基本目的
「会社の繁栄、社員の幸福、関連会社・取引業者の繁栄、
新しき文化の創造、人類社会の発展、人類の幸福への貢献」

●グループ社員の仕事の仕方に対する合言葉
「from-0」
「明るくのびのびと仕事をしよう」

※引用終わり。

正直、素晴らしい・立派な企業理念だと思います。渡邉美樹氏自身、自己啓発系の著作も多くあり、素晴らしいことを書いています。しかし皮肉なことに企業理念に書いていることと、実際に自社の従業員が過労死した挙句、長期間に渡り労働紛争が長期化し、解決しなかった点を見ると、企業理念に基づいた行動ができていないのでは?」と私は思います。

実際、自社の従業員が過労死した事実を速やかに和解せず長年「放置」していた点は、「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」というスローガンはできていないと思います。自社の「ありがとう」「社員の幸福」すら出来ていないのが現実だと私は思います。

企業理念が「立派」すぎて、「自社の労働者は財産である」事を見失ったのでは?と私は思ってしまいます。渡邉美樹氏は会社の利益で、カンボジアやバングラデシュに寄付していたようですが、「地球人類」以前に過労死の問題等「自社内の事」が出来ていないのでは、本末転倒だと私は思います。

今回のワタミの事例を反面教師に、それぞれの会社に合った、背伸びしない「企業理念」で、「自社の繁栄・自社の幸福・自社の従業員の幸福」という足元からコツコツ歩んだほうがいいのでは?と、私は学んだ次第です。




写真は今日の夕食で、きのことベーコンのしょうゆパスタ、おでんです。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。


※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。
福岡 久留米
採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人
移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし会社側の相談のみであり、労働者からの相談は対応していませんので、ご了承願います。
なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。
社会保険労務士おくむらおふぃす



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Posted by naitya2000 at 23:01Comments(0)