2011年11月10日

助成金不正受給と社労士

こんにちはnaitya2000こと労務管理の町医者・社労士の吉野正人です。今日は助成金不正受給について書きたいと思います。今回は気になる新聞記事が2つありました。

※西日本新聞より引用

雇用助成9000万円不正受給 北九州の設計会社
西日本新聞2011年10月12日 01:23 

 厚生労働省福岡労働局は11日、プラント設計会社「ジャパンエンジニアリング」(北九州市)が、従業員を休業したように装って国の「雇用調整助成金」約9千万円を不正受給したと発表した。不正受給の公表は九州7県で5件目(福岡3件、大分2件)。不正額では全国3番目の大きさ。 

 同社は返還命令に応じ、全額を支払っているが「今回の判断は承服できない」として国を提訴する準備を進めていることを明らかにした。同省によると、国の判断を不服として公表された企業が提訴すれば全国初。
 
 同労働局によると、同社は2010年2月-11年6月の17カ月間、助成金を受給。同労働局の7月の調査で、休業申請していた日に従業員を働かせていたことが判明した。

 助成金は売上高が急激に落ち込むなどした際、企業が従業員を解雇せずに休業手当を支払う場合、その一部を助成する雇用保険制度の一環。

※引用終わり。


※阪九フェリー フェリーやまと 新門司港より
http://www.han9f.co.jp/index.html

 情けない事に、地元福岡での不正受給事件です・・・。しかも、この会社は、国相手に提訴するとガチンコで争う姿勢のようです。正直、国相手に争っている間に、お客様との信頼関係の損失や企業イメージの低下で売上・利益減になるのでは?と思われます。

 この不正受給事件のせいでしょうか?実は最近、助成金の手続きをしている顧問先に福岡労働局から調査がありました。幸い私が調査に立会い、調査官が手続きで顔見知りの職員だったのもあり、それ以前に事前に問題が無い事を確認のうえ手続をしていたので、無事終わりました。

 しかし、次の助成金不正受給に関する記事は、社労士も絡んでいるようです・・・。

※毎日新聞より引用

詐欺:実態ない会社で雇用助成金 容疑で5人逮捕 /京都
毎日新聞 11月8日(火)16時8分配信

 雇用実態のない会社で従業員を休業させたと偽り、国から中小企業緊急雇用安定助成金約990万円をだまし取ったとして府警組織犯罪対策2課と山科署などは7日、京都市左京区岩倉花園町、元会社社長、李昌桂容疑者(49)ら5人を詐欺容疑で逮捕した。10年以降、計5960万円の助成金を受け取ったとみており、さらに追及する。

 同助成金は、会社が経済上の理由で社員を一時休業させた場合、休業手当の一部を会社へ支給し、失業を防ぐ制度。逮捕容疑は、実態のない3社の経営難を装い、09年12月~10年4月に計73人を休業させたとする虚偽の申請書を京都労働局に提出、計990万円の助成金をだまし取ったとされる。李容疑者は「よく分かりません」などと否認しているという。

 府警によると、申請書には李容疑者が実質的に経営するキャバクラ従業員の名前を記載。社会保険労務士事務所の事務員らを窓口へ出向かせ、担当職員を信用させたとしている。

※引用終わり。


※阪九フェリー フェリーやまと 泉大津港入港

 同じ社労士として呆れて何も言えません。新聞記事に掲載されている中小企業緊急雇用安定助成金は、リーマンショック以来ずっと受給している中小企業が多いのが実態です。支給要件も最初は厳しかったんですが、次第に規制緩和され手続きも簡単になりました。しかし、緩和され簡単になると不正受給する会社が増えるのも事実です。

 実際、中小企業緊急雇用安定助成金の不正受給の典型的パターンは、出勤簿では「休業」になっているのにもかかわらず、実際は「出勤」しているパターンだったりします。また、賃金台帳では休業手当を支給しているはずなのに、実際は休業手当を支払っていないパターンも多いようです。

 以上のような不正受給している会社の「常連」は、社労士を使わず直接手続きをしているケースが多いようです。しかし、新聞記事のケースは、社労士が関与している可能性が強く、社労士業界として行政及び顧問先である中小企業への信頼を失いかねません・・・。

 そうは言っても、助成金申請については専門家である社労士に手続き代行を依頼することをオススメします。そして、私自身を含め社労士は「ピンキリ」ですので、しっかり比較・吟味した上で選ぶことをオススメします。

以上、naitya2000でした。  

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2011年11月03日

サービス残業に注意

こんにちはnaitya2000こと労務管理の町医者・社労士の吉野正人です。久しぶりのブログ掲載となります。今日は、先月の新聞記事ですが、残業に関する内容なので紹介したいと思います。

※毎日新聞より引用

サービス残業3年ぶり増、1386社指導 厚労省
朝日新聞2011年10月19日19時30分

 厚生労働省は19日、2010年度に「サービス残業」で労働基準監督署から是正指導を受け、計100万円以上の残業代を新たに支払った企業は前年度から165社増の1386社だったと発表した。企業が人件費抑制を続けるなか、リーマン・ショック後の景気持ち直しで仕事が増えたため、3年ぶりに前年度を上回った。

 是正指導後に支払われた残業代の総額は前年度比7億円増の123億円。対象者は同3342人増の11万5231人で、1人あたり平均11万円。1企業での支払額の最高は3億9409万円だった。
※引用終わり。


※オレンジフェリー オレンジ8 大阪南港にて
http://www.orange-ferry.co.jp/ 

 短い新聞記事ですが、中小企業の経営者にとっては注意すべき内容だと思います。新聞記事によると、労働基準監督署による未払い残業手当の行政指導(是正勧告)による支払額及び支払った会社数、支払った労働者数が増加傾向であると言う事です。

 新聞記事では、増加した原因を「企業が人件費抑制を続けるなか、リーマン・ショック後の景気持ち直しで仕事が増えたため」と書いていますが、それだけではないと思います。

 むしろ、インターネットの普及による労働者の意識向上・労働相談窓口の増加・パートタイマー・契約社員・派遣社員などの雇用形態の多様化の方が主な原因だと思います。

 しかも、一部の弁護士・司法書士による「過払い金請求」に代わる次のビジネスとして「未払い残業手当請求」へと移りつつあります。下手すれば、中小企業にとって「残業代支払倒産」も起こりかねません。

 なお、未払い残業手当を支払わない場合は、労働基準法37条違反により、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。社長だけでなく、人事労務担当者も最悪書類送検される可能性があります。ただし、いきなり書類送検されるのではなく、まずは労働基準監督署から調査により行政指導(是正勧告)が行われるのが一般的です。

 最近の労働基準監督署の調査は、申告いわゆるタレこみによる調査が増えています。しかも、労働者本人だけでなく労働者の家族からの監督署への相談も増えているので注意が必要です。

 未払い残業手当請求に伴う労働基準監督署への申告をされないようにする為には、「労使でもめない」ことです。法令順守も重要ですが、日頃から従業員の現状を把握し、労使でもめないよう「相手(労働者)の立場」にたった良好な労使関係を保つ労務管理が必要だと思います。

以上、naitya2000でした。
  

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