スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2010年07月20日

いじめ・パワハラによるうつが増えています。

 こんにちはnaitya2000こと労務管理の町医者・社労士の吉野正人です。少し前ですが、いじめとうつに関する気になる記事がありました。

※共同通信記事より引用

「いじめでうつ」認定/労基署の処分取り消し

(共同通信)6月23日

 富士通に勤めていた京都市の女性が、うつ状態と診断され休職したのは社内のいじめが原因として、労災保険法に基づく療養費を支給しなかった京都下労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決が23日、大阪地裁であり、中村哲裁判長は因果関係を認め、処分を取り消した。
 
 中村裁判長はいじめを「長期におよぶ陰湿なもので常軌を逸している」と指摘し、「意を決して相談した上司は何の防止策も取らず、女性が失望感を深めたとうかがわれる」と因果関係を認定。労基署の処分を「不適法」とした。

 判決によると、女性は同社京都支社でホームページ作成などをしていた2000~02年、同僚らから顔を殴るまねをされたり、いじめてやると言われたりして精神的に不安定になり、医師が「不安障害、うつ状態」と診断。05年まで休職した後、解雇になった。

 同労基署は06年、女性の療養補償請求を「業務が原因ではない」として退けていた。
富士通は「判決内容を把握していないのでコメントできない」としている

※以上、引用終わり。

 最近、パワハラ・いじめに伴う労働相談が増えています。具体的には、上司や経営者自らによる「いじめ」「パワハラ」により精神的に追い込まれ、「うつ病」と診断されるパターンが増えています。相談される労働者の職場内は、他の従業員も「明日はわが身」のせいか助けてくれる事も無く、見て見ぬふりのパターンが多いようです・・・。

 相談ではうつになった挙句、新聞記事のように労災申請が認められず、健康保険の傷病手当金を受給しているパターンが多いようです。挙句の果て、解雇を言い渡されている事例も見受けられます・・・。ひどいと、労働者自身が労災申請や健康保険の傷病手当金すら知らないパターンもあります・・・。「法律を知らないと損をする。」まさにこの言葉が現実です。


※博多港にて博多~釜山を結ぶ国際フェリー「ニューかめりあ」
http://www.camellia-line.co.jp/

 さらに、パワハラについて下記のように労働基準監督署が労災認定した記事がありました。

※毎日新聞より引用

労災認定:会社員自殺はパワハラが原因 島田労基署
2010年6月4日毎日新聞

 建設会社の男性会社員が自殺したのは上司からのパワーハラスメント(パワハラ)が原因と、島田労働基準監督署(静岡県島田市)が労災認定していたことが4日、分かった。労災申請していた会社員の妻(30)の代理人の弁護士によると、パワハラによる労災認定は珍しいという。

 自殺したのは、建設会社「大東建託」(東京都港区)藤枝支店で営業を担当していた谷坂聡太郎さん(当時42歳)。妻や弁護士によると、谷坂さんが担当して同社は05年3月、同県焼津市内のマンション建設の請負契約を施主と締結したが、基礎工事などの工事代金が予定より約3000万円超過。

「お前が払わないなら関係者全員が解雇される」などと上司2人から谷坂さんが約360万円、2人が200万円ずつを施主に払うとの覚書にサインさせられた。谷坂さんは払えずにうつ病を発症、07年10月に自殺したという。

 遺族側は「一社員が負うべきでない個人負担を強いられ自殺した。業務が原因なのは明らか」と労災認定を求めていた。

 妻は別に同社を相手取り損害賠償を求め提訴。遺族側によると、同社は「支払いを強制しておらず、うつ病の原因も別にある」などと争っているという。

 大東建託は労災認定について「コメントできない」と話している。【山田毅】

※引用終わり。

 上記の事例は、パワハラにより自殺してしまったといういわゆる会社にとって「最悪」のパターンです。会社として、パワハラ・いじめに対して、場合によっては下記のような法的責任を問われることもありえます。

 加害者に対しては、民事責任として、民法709条による不法行為に基づく損害賠償責任や場合によっては、傷害罪・暴行罪・名誉毀損罪・侮辱罪等の刑事責任もありえます。

 会社としては、労働契約法5条の安全配慮義務、民法715条による使用者責任、職場環境配慮義務を怠ったことによる債務不履行責任(民法415条)も問われる可能性があります。

 今後、会社としてもいじめ・パワハラを「見て見ぬふり」「野放し」はリスクを伴います。疑わしき事例が発生した時は、加害者(上司)・被害者(労働者)両者、そして周囲(他の労働者)の事情聴取が重要となります。決して、片方の意見だけで結論を出すのは、オススメできません。

 就業規則で「社内相談窓口」の設置、問題発生時の事情聴取・話し合い等の対処法など定めておく必要があります。また、実際には社内相談窓口及び社内では対処法について結論が出せないパターンもありえます。ましてや、法律的な問題点を把握せずに結論を出すのは危険だと思われます。

 実際、上司及び経営者自身がパワハラと認識していない・問題意識が低いパターンも見受けられます。その場合、専門家(社労士、弁護士)及び公的機関(福岡県・福岡労働局・ADR等)の相談窓口で第三者の意見・アドバイスを聞いた上で、冷静に対処するのがいいと思われます。

以上、naitya2000でした。

   

Posted by naitya2000 at 00:18Comments(3)