スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2010年02月21日

過労(労災)と損害賠償

こんにちはnaitya2000こと社会保険労務士の吉野正人です。今日は、「過労」に関する気になる記事がありましたので紹介したいと思います。

※時事通信社記事より引用

過労で発症、2億円弱賠償命令=元レストラン店長、残業月200時間-鹿児島地裁
(時事通信社 - 02月16日 20:03)

 鹿児島県鹿屋市の元レストラン店長松元洋人さん(35)が「低酸素脳症」を発症し、意識不明で寝たきりになったのは、長時間の時間外労働が原因として、松元さんと両親が、レストラン経営会社「康正産業」(鹿児島市)を相手に計約3億5000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が16日、鹿児島地裁であった。山之内紀行裁判長は安全配慮義務違反と発症との因果関係を認め、未払いの残業代を含め計約1億9500万円の支払いを命じた。

 原告側代理人によると、損害賠償額は約1億8700万円で、過労をめぐる訴訟では最大規模という。賠償額には、寝たきりになった時点から46年分の介護費用も含まれている。 

※引用終わり。


※名門大洋フェリー「フェリーきたきゅうしゅう」船上より
http://www.cityline.co.jp/

このケースは、会社が完全に「負け」というケースだと思います。労災の手続をし、労災から障害補償年金は受給していると思われます。しかし、健康保険より補償が手厚い労災でも、全てを賄える訳ではありません・・・。

 労災では、いわゆる治療費や賃金補償はほぼ賄えますが、「慰謝料」はフォロー出来ません・・・。なお、障害が残ったケースの場合、一般的に損害賠償額は、亡くなられた場合より高額になる事が多いようです。

 そして、今回は日頃の労務管理、特に労働時間管理を怠らなければ防げたケースです。ちなみに労働安全衛生法66条では、長時間の残業(1月当たり100時間を超え)を行い、かつ疲労の蓄積がみられる労働者に対し、労働者の申し出により面接指導をする事を義務付けています。

 しかも、会社として「使用者は、労働契約に従い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という労働契約法第5条で定められた安全配慮義務があります。今回のケースの場合、「労働者が勝手に働いてるから」という理由は通用しません・・・。

 今回の記事より、レストランの店長と言えでも「労働時間管理」が必要です。「管理監督者」だからと言う理由付けも、マクドナルドにおける「名ばかり管理職」の判例から考えても危険です・・・。また、労災では補償できない慰謝料などの損害賠償を補う為に民間保険会社の「上乗せ労災」加入をお勧めします。

 以上、naitya2000でした。


   

Posted by naitya2000 at 11:02Comments(0)